結論
クラウド給与ソフト選びで最初に見るべきは、料金表ではありません。 「いま使っている会計ソフトと繋がるか」です。
筆者は社労士との顧問契約を解約し、クラウド給与ソフトでの自力運用に 切り替えました。月20,000円の顧問料は月3,000円程度のソフト利用料になり、 移行作業は約2時間でした。
その経験から言えるのは、この分野の主要3社(弥生・freee・マネーフォワード)は どれを選んでも給与計算はできるということです。差が出るのは 「自分の会社の他の仕組みと、どれだけ素直に繋がるか」でした。
こんな方に読んでほしい
- 社労士やアウトソースをやめて、給与計算を自社でやろうとしている方
- 3社のどれにするか、料金表を見比べて決めかねている方
- ソフト選びで後から後悔したくない方
先に判断軸を示します
比較表の前に、何で判断するかを決めるのが先です。 筆者が重要だと考える順に並べます。
| 優先度 | 判断軸 | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 1 | 会計ソフトとの連携 | 給与の仕訳を会計に手入力する手間が毎月発生するかどうかが決まる |
| 2 | 勤怠管理をどうするか | 打刻→集計→給与計算が繋がらないと、結局手作業が残る |
| 3 | サポートの手厚さ | 自力運用では「詰まったとき聞ける相手」が事実上ここしかない |
| 4 | 料金 | 3社とも月数百円〜数千円の範囲。差はあるが判断の決め手にはなりにくい |
料金を4番目にしたのには理由があります。筆者の場合、社労士顧問料が 月20,000円だったので、どのソフトを選んでも削減幅は月1万円以上になり、 ソフト間の数百円〜千円程度の差は誤差の範囲でした。
3社の位置づけ
| ソフト | 向いている会社 |
|---|---|
| 弥生給与 Next | 弥生会計を使っている。サポート重視。会計と給与を同じ操作感で揃えたい |
| freee人事労務 | freee会計を使っている。給与+勤怠+労務手続きを1つにまとめたい |
| マネーフォワード クラウド給与 | MF会計を使っている。コスト重視で最小構成から始めたい |
見てのとおり、答えはほぼ「会計ソフトで決まる」構図です。 3社とも自社の会計ソフトとの連携が最も強く作られているため、 会計を動かさないなら給与も同じ系列に揃えるのが、 毎月の運用がいちばん軽くなります。
各社の詳細は公式サイトで確認できます。いずれも無料で試せます。
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筆者の場合
筆者は弥生給与 Next と弥生勤怠 Next を使っています。 給与と勤怠あわせて月3,000円程度で、社労士に依頼していた頃と比べて 年間およそ204,000円の削減になりました。
移行作業は約2時間で、エラーは出ませんでした。 時間がかかったのは従業員データの CSV をソフトの形式に合わせる作業で、 これは AI に変換させれば短縮できます(詳細は別記事に書きました)。
そもそもクラウド型でいいのか(インストール型との違い)
給与ソフトには、パソコンにインストールする従来型と、 ブラウザで使うクラウド型があります。 これから始めるなら、筆者はクラウド型を前提にしてよいと考えています。
| 観点 | インストール型 | クラウド型 |
|---|---|---|
| 法改正・料率改定への対応 | 更新プログラムの適用が必要 | 自動で反映されることが多い |
| 使う場所 | 入れたパソコンのみ | ブラウザがあればどこでも |
| データの保管 | 自分のパソコン内 | 事業者のサーバー |
| 費用の形 | 買い切り+保守料が多い | 月額・年額の利用料 |
自力運用でいちばん怖いのは、保険料率や税制の改定を取りこぼすことです。 社労士がいれば向こうが気づいてくれますが、自力ではそうはいきません。 改定がソフト側で自動反映されることは、自力運用者にとって 単なる便利機能ではなく安全装置だと筆者は考えています。
移行するタイミングはいつがいいか
一般には、1月(年初)または新年度の切り替えがきれいだと言われますが、 実務上は「月の給与計算が終わった直後」であれば、いつでも移行できます。
筆者も年初を待たずに移行しました。移行作業そのものは約2時間で終わったので、 「今月の給与計算が終わった翌日」が実質的なベストタイミングです。 逆に、給与計算の締め直前に始めるのはおすすめしません。 万一設定に手間取ると、その月の支給に影響します。
選ぶ前にやるべき2つのこと
1. いまの会計ソフトを確認する
繰り返しになりますが、これで大半は決まります。 会計ソフト自体を使っていない・乗り換え予定があるなら、 会計と給与をセットで検討する段階です。
2. 無料トライアルで「自社の給与」を1回計算してみる
3社とも無料トライアルまたは無料プランがあります(2026年7月時点で確認)。 カタログ比較を続けるより、実際の従業員データを1人分入れて 1ヶ月分計算してみるほうが、確実に判断できます。
筆者の実感では、試すときに見るべきは計算結果ではなく 「設定画面で迷子にならないか」です。給与計算は毎月やる作業なので、 画面との相性は数百円の料金差より運用に効きます。
注意点: ソフトが「やってくれないこと」
どのソフトを選んでも、手続きの期限管理は自動化されません。 算定基礎届や年度更新のような年間の手続きは、ソフトは計算を手伝ってくれますが、 「そろそろやる時期です」と教えてくれる社労士の役割は自分に戻ってきます。
この点は別記事「社労士との顧問契約を解約した。自分でやることは何が増えたのか」で詳しく書いています。
まとめ: 迷ったらこの順で決める
最後に、この記事の判断手順を1つの流れにまとめます。
- 1. いまの会計ソフトを確認する — 弥生なら弥生給与 Next、freee なら freee人事労務、
マネーフォワードなら クラウド給与。ここで決まれば終わりです
- 2. 会計ソフトを使っていないなら、勤怠管理まで含めて何を任せたいかを決める
- 3. 候補を1つか2つに絞ったら、無料トライアルで自社の給与を1回計算してみる
- 4. 料金表を見るのは最後。月数百円の差で選ばない
筆者の実感として、ソフト選びにかける時間は1週間もあれば十分です。 筆者は検討にほとんど時間をかけずに移行し、作業は2時間で終わり、 その後の運用は月数時間で回っています。 「選び間違えたらどうしよう」と比較を続ける時間より、 トライアルで1回計算してみる1時間のほうが、確実に答えに近づきます。 迷っている間も、いまの外注費は毎月かかり続けています。
※本記事は筆者自身の経験に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言や個別の労務相談への回答ではありません。個別のケースについては社会保険労務士・税理士等の専門家にご確認ください。記載内容は執筆時点の情報に基づきます。

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